AIに必須な技術「マルチモーダル」の基本について解説

・マルチモーダルという単語を初めて聞いた
・マルチモーダルの導入前と導入後の違いについて知りたい
・マルチモーダルの応用例について知りたい

本記事はこれらの疑問点についてお答えしたいと思います。

1.マルチモーダルとは?

マルチモーダルとは、異なる種類のデータや情報源を組み合わせて理解し、処理する技術やアプローチを指します。

マルチモーダルはAIを構成する重要な技術となっており、基本的には人間の情報処理方法を模倣しています。
人間は日常生活で、視覚、聴覚、触覚など、複数の感覚を統合して世界を理解しています。
マルチモーダルも同様に、複数の情報源を組み合わせてより深い理解や予測を行います。

現代の情報社会では、テキスト、音声、画像、動画など、さまざまな形式のデータが膨大に存在しています。
これらのデータを個別に処理するだけでは、情報の一部しか理解できないことが多いです。
たとえば、画像だけでは状況の一部しかわからない場合でも、音声やテキストを加えることで全体像を把握することができます。
マルチモーダル技術は、これらの異なるデータ形式を統合し、より包括的で詳細な情報を把握するための鍵となります。

2.マルチモーダル導入前と導入後

マルチモーダル技術が一般的になる前、人間とコンピュータの相互作用は主にテキストベースのインターフェースに限られているため、キーボードを使用してコマンドを入力し、情報を取得する必要がありました。

視覚的なデータや音声データは、それぞれ独立した形で処理され、統合されることはほとんどありませんでした。
このアプローチは、技術に精通しているユーザーには適していましたが、非技術者や障害を持つ人々にとっては、利用することが困難でした。


しかしマルチモーダル技術の導入により、人間とコンピュータの相互作用は大きく変化しました。
異なる種類のデータ(テキスト、画像、音声、動画など)が統合され、より直感的なインターフェースが実現しました。
例えば、音声認識、ジェスチャー制御、顔認識などが組み込まれたシステムにより、ユーザーは自然な方法でコンピュータと対話できるようになりました。
これにより、高齢者や障害を持つ人々も含め、より多くの人々が技術を使いこなすことが可能になりました。

3.マルチモーダルの応用例

①医療分野
電子カルテとAIの融合により、医療ビッグデータの多角的活用が進んでいます。
例えば、マルチモーダルAIを用いてがんの早期発見や治療計画の最適化を目指すプロジェクトもいくつか発足しています。

②自動運転技術
自動運転車の開発において、マルチモーダルAIは周囲の環境を認識し、適切な判断を下すために重要な役割を果たしており、完全自動運転の実現に必須となります。

③ 防犯カメラモニタリング
AIによる防犯カメラモニタリングシステムに利用されており、映像だけでなく音声情報も組み合わせることで、より精度の高い監視が可能になっています。

④ エンターテインメント
映画やゲームのキャラクターが視覚と聴覚を使ってより自然に会話するシステムの開発が進んでいます。これにより、ユーザーはよりリアルな体験を享受できます。

⑤教育分野
教育ツールとしてのマルチモーダルAIの活用も進んでおり、学習者の反応を視覚的、聴覚的情報から分析し、個別化された学習経験を提供することが可能です。

マルチモーダルは、私たちの生活をより豊かで便利なものに変える可能性を秘めています。
その進化とともに、私たちの日常はさらにスマートで便利なものになっていくと思いますので、今後も注目してみていきましょう。